日本の保護者と世界で異なる「基礎学力」の認識とは?スプリックス教育財団の国際調査結果

調査の概要と「基礎学力」の認知度
この調査は、日本、フィリピン、インドネシア、ベトナム、タイ、キルギス、ケニア、エジプト、モロッコ、ペルーの10か国で、小学4年生から中学3年生に相当するお子さんを持つ保護者を対象に、2026年4月から8月にかけて実施されました。合計3,547人の保護者から回答が集計されています。
「基礎学力」という言葉は、調査対象の全10か国で広く認知されており、多くの保護者がその重要性を認識していることがわかりました。モロッコを除く9か国では、8割以上の保護者が基礎学力を「重要」または「とても重要」だと回答しています。


調査方法のポイント
| 調査テーマ | 国際基礎学力調査2026 |
|---|---|
| 調査時期 | 2026年4月 ~ 8月 |
| 調査対象国 | 日本、フィリピン、インドネシア、ベトナム、タイ、キルギス、ケニア、エジプト、モロッコ、ペルー |
| 調査対象者 | 小学4年生、小学5年生、中学2年生、および中学3年生に相当する子どもの保護者 |
| サンプル数 | 保護者:3,547人(2026年9月1日時点) |
| 調査主体 | 公益財団法人スプリックス教育財団が株式会社スプリックスに委託して実施 |
| 調査方法 | 1学年あたり1~数校の学校および自宅での調査。保護者の回答は任意。 |
※この調査は、基礎学力の向上に課題を感じている国を中心に行われたもので、回答者はランダムに抽出されたものではありません。特定の地域や学校の結果であることにご留意ください。
日本の保護者の「基礎学力」は「知識、技能」が中心
日本の保護者に「『基礎学力』にどのような力が含まれていると思うか」と質問したところ、「読み書きの能力」(76.0%)、「計算力」(68.0%)、「主要教科の基礎知識」(64.2%)が上位を占めました。これらはいずれも「知識、技能」と呼ばれる力に該当します。日本の保護者は、「情報を正しく理解し、活用する力」や「問題を見つけて解決する力」といった「活用する力」や、「学習意欲」よりも「知識、技能」を基礎学力として捉える傾向が強いことが示されました。

他の国々では「活用する力」が重視される傾向
一方、日本以外の9か国の保護者では、異なる傾向が見られました。10か国全体で見ると、「情報を正しく理解し、活用する力」(51.0%)や「問題を見つけて解決する力」(48.3%)が上位を占めています。日本以外の国では、「活用する力」(学んだ知識を応用したり、新しい状況で使ったりする力)を基礎学力として重視する傾向が見られます。
日本の保護者が挙げた上位3項目がすべて「知識、技能」(読み書き、計算、教科の基礎知識など)にあたる力だったのは、調査した10か国の中で日本だけでした。他の国々では、「論理的に考える力」や「自分の考えを明確に表現する力」といった「活用する力」が上位に挙がる傾向にあります。
| 国名 | 読み書きの能力 | 計算力 | 主要教科の基礎知識 | 情報を正しく理解し活用する力 | 自分の考えを明確に表現する力 | 問題を見つけて解決する力 | 論理的に考える力 | 学習に対する姿勢と意欲 | その他 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 全体 | 47.3% | 45.3% | 45.8% | 51.0% | 47.3% | 48.3% | 43.5% | 39.9% | 4.3% |
| 日本 | 76.0% | 68.0% | 64.2% | 52.5% | 41.8% | 37.0% | 33.8% | 32.0% | 1.4% |
| フィリピン | 66.2% | 61.3% | 56.0% | 69.5% | 72.2% | 68.8% | 62.0% | 54.5% | 7.5% |
| インドネシア | 32.7% | 36.8% | 26.4% | 45.5% | 37.7% | 43.2% | 47.3% | 36.4% | 4.1% |
| ベトナム | 49.9% | 53.5% | 58.7% | 57.9% | 59.6% | 61.4% | 45.0% | 51.1% | 5.4% |
| タイ | 46.5% | 39.9% | 47.0% | 49.0% | 39.1% | 45.0% | 30.9% | 38.0% | 5.4% |
| キルギス | 34.0% | 36.5% | 35.9% | 51.3% | 51.9% | 44.9% | 62.2% | 47.4% | 1.3% |
| ケニア | 38.0% | 36.6% | 43.0% | 40.8% | 47.9% | 40.8% | 44.4% | 38.7% | 2.1% |
| エジプト | 51.7% | 53.6% | 49.3% | 73.9% | 64.5% | 69.7% | 61.6% | 37.4% | 2.8% |
| モロッコ | 16.0% | 20.6% | 20.3% | 23.0% | 17.2% | 17.7% | 14.8% | 14.8% | 3.8% |
| ペルー | 44.0% | 36.5% | 38.7% | 48.3% | 45.5% | 49.2% | 40.5% | 42.4% | 4.9% |

認識の違いが示すこと
この調査結果は、「基礎学力は重要だ」という共通の認識がある一方で、その具体的な内容については国によって大きな違いがあることを示しています。お子さんの教育について学校や先生と話し合う際、あるいは国際的な教育の議論の場において、「基礎学力」という言葉が指す意味が、話し手によって異なっている可能性があるということです。
日本の保護者の認識は、教育学の文脈で「伝統的」とされる「読み書き計算を基礎学力とする見方」に近いことが示唆されています。学力の捉え方は時代とともに広がってきていますが、保護者の間では依然として知識や技能が重視される傾向にあるようです。
今後の教育を考える上で、この「基礎学力」に対する認識の違いを理解することは、お子さんたちの学びをより効果的にサポートするために大切な一歩となるでしょう。
この調査の詳細な結果や、学力・基礎学力の捉え方の変遷については、以下のPDF資料をご参照ください。
お子さんの学びについて話し合う際は、「基礎学力」という言葉が指す内容を具体的に確認することの重要性を示唆しています。詳細な情報は、公益財団法人スプリックス教育財団のウェブサイトでご確認ください。


